平成3年度 市特活だより

第21号

責任者:河村 卓巳

P1

◎ 先駆的・実践的研究に期待する

名古屋市教育委員会指導室指導主事 一柳 岩宏

  • 今回の教育課程基準改善の一番目の柱となった「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」は、その多くが特別活動という体験的な学習活動においてできるものであると言っても過言ではない。特別活動の果たす役割の大きさとともにその責任は大きくなっている。
  • 今や理論の段階でなく、実践の時である。新学習指導要領の精神を具現できるのは、各学校の先生方の意欲的実践以外にない。どんな高邁な論理も、各学校での先生方の地道な実践・努力なくしては成り立たない。市特別活動研究会への期待は大きい。

◎ 早川三雄先生の教訓

名古屋市学校教育研究会特別活動研究部会長 梅村 勝

  • 特活研究会の生みの親である早川三雄先生は、「総ての判断の基礎は、児童・生徒の真の幸せに置く。」という言葉を述べられている。大人の社会のさまざまな約束事や取り決めが優先して、子供たちが取り残され、しわ寄せを受けるようなことがあってはならない。
  • 今の子供たちは物が一杯あるのに、何かしら食い足りない表情を隠しきれずにいる。「児童・生徒の真の幸せ」についてもう一度じっくり考えてみないと、新学習指導要領の精神も、さまざまな制度の改革のねらうものも、生きてはこないように思う。

P2

今年度の取り組み

学級会活動小学校第一部会 学級や学校の生活の充実と向上に関する題材に焦点を当て、生活上の諸問題の解決、学級内の仕事の分担処理をする活動について実践研究を行う。
「よりよい学級生活をみんなでつくり上げる学級活動」というテーマで、児童の自発的・自治的な活動を促すための教師の助言の在り方や、話合いの展開の方法について研究を進める。
第二部会 学校生活を営む上で起こるさまざまな問題や悩みを解消し、望ましい人間関係を育てるために、児童が主体的に問題解決していこうとする意欲を高める。
「温かい人間関係を培う学級活動」というテーマで、資料の収集場面や問題解決の話合い場面に、児童の自主的な活動を取り入れるなど、指導を工夫する。
中学校 「問題解決の態度を育てる学級活動」をテーマにして、生活や学習の問題で悩み、学校生活を楽しく過ごせない生徒に、問題を解決する方法を考えさせ、自己実現に結びつけることができるような適応指導と進路指導の実践研究を進める。
児童会活動 「みんなが生き生きと活動する児童会活動」をテーマに、生き生きと活動するための手だてに焦点を当てて、研究を進める。
生徒会活動 「活動意欲を高める生徒会活動」をテーマに、生徒会と学級との望ましい在り方について実践研究を進める。
クラブ活動 「児童が興味・関心を持ち、楽しんで活動するクラブ活動」というテーマで、一人一人を大切にし、クラブの特質を生かした指導を心掛け、一年間の具体的な活動の展開例を追いながら、集団にとけこめない児童への指導を中心に研究を進める。
学校行事 「感動と喜びを味わわせる学校行事」というテーマで、「感動を与える行事をどのように工夫して計画したらよいか」「参加の喜びを味わわせるためには、どのような工夫をしたらよいか」ということを中心に実践研究を進める。

P3

全国小学校学校行事研究会・宮城大会の報告

P4

特集 学級活動となって

  • 「題材のとらえ方」
  • 「自主的・実践的な活動にするための工夫」

P5

研究実践校紹介

  • 「ふるさとの心」を持つ児童の育成
  • 豊かな心を持つ児童の育成

P6

個人研究紹介

  • 共に活動する意欲を高める学級集会活動
  • 好ましい人間関係を育てる学級活動

P7

全国特別活動研究協議会・東京大会の報告

P8

会員紹介

第22号

責任者:河村 卓巳

P1

◎ 特別活動と新しい学力観

名古屋市教育センター指導主事 三輪 一彦

  • 新しい特別活動では、一人一人の子供が有りのまま自己を見いだし、主体的に生きる力を身に付けるために、個々の子供の関心・意欲・態度を基盤として、思考力・判断力・創造力を働かせ、主体的に生き、学ぼうとする意欲や態度などを包括して学力としてとらえることが大切になってくる。
  • 特別活動においても、読み・書き・計算と同じように、話合いの進め方やリーダーシップなども、集団活動に必要な基礎・基本として、一人一人の子供に応じて身に付けてやることが求められている。特別活動で育てる学力を、目標や基本的性格を手掛かりにして吟味し、授業を通して、すべての子供に定着させていくことが必要である。

◎ 評価について考える

名古屋市特別活動研究会委員長 河村 卓巳

  • 特別活動の評価は、「集団の発達過程のみならず、一人一人の児童生徒の活動状況を評価する」「児童・生徒の長所を取り上げ、長所を伸ばす観点で評価する」「性急な干渉や援助は避け、日々の活動を温かく見守る」「活動の成果のみならず、関心、態度の変容をとらえるため、活動の過程を評価する」ことが必要である。
  • 上記のことは、従前より心掛けてきた事柄ばかりだが、十分実践できたかとなると疑問符がつくのではないか。評価のための評価に終わらないように評価を進めることが大切である。

P2

名古屋市教育会後援研究協議会の報告

小学校部会

<実践発表>

「学級生活向上への意欲を育てる係活動」

みんなに共通した学級生活向上の問題は何かをとらえさせ、その解決に向け、みんなで考えを出し合って活動させていくために「アイデアマップ」を活用した。その結果、学級をより良くしようと考えて行動する生徒が多く見られるようになった。

「持ち味を発揮させる学級活動」

持ち味を生かした役割をピースに記入し、実際に生かすことができた時、ジグソーパズル式にはめ込み認め合わせた。その結果、児童の互いの持ち味を認め、生かし合おうとする意識の高まりが見られた。

<指導・助言>

  • アイデアマップは、児童に集団と個の関係を体系的につかませる上で、すばらしい着想であり、大変効果的であった。
  • ジグソーパズルは、持ち味を「掘り起こす-生かす-認め合う」という3段階で発揮・伸長させる上で、有効に働いたといえる。
  • 結果以上に、そこに至るまでの過程で子供をどう動かすかが、現代の教育の重要課題であり、特活が今後も追求していくべき課題である。

中学校部会

<実践発表>

「自主的態度を育てる学級活動」

自分の立場や役割など自己理解させた上で、それを基にした行動目標づくりをさせ、喜びを味わわせ自信をもたせる評価活動の充実に努めた。その結果、自信をもち進んで活動する生徒の姿が多く見られるようになった。

<指導・助言>

  • 自分にかかわりのある課題を、確かな自己理解に立って具体的行動目標として取り組ませたことは、生徒の自信や意欲につながった。

P3

小学校学校行事研究全国大会・大阪大会の報告
「創意を生かした新しい学校行事の創造」

P4

特集 中学校の学級活動

P5

海外研修報告

  • 一人一人の能力を生かすカナダの教育
  • 個性尊重の国・アメリカの学校を訪問して

P6

個人研究紹介

  • 実践意欲を高める学級集会活動
  • 自立した子供を育てる係活動

P7

研究員国内留学の報告

教育研究派遣員・学校訪問記

P8

会員紹介

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