特活指導者が算数の授業を進めると、子どもたちはどう育つのか?
特別活動では、よりよい学校生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てます。学校生活上の諸問題を話し合って解決していく中で、子どもたちは自ら生活習慣を向上させようとしたり、ルールを守ろうとしたりするようになります。それは、自ら学習に取り組む意欲を高め、より学習した内容が身に付いていくことにつながります。また、よりよい人間関係の深まりによって、間違いや失敗を恐れず安心して学習に取り組めるようにもなります。そうした安心感は、のびのびと自己を表現することにつながり、友達と教え合ったり切磋琢磨したりして、互いに学び合い高め合っていくような学級の雰囲気を醸成していきます。
また、OECDによる「生徒の学習到達度調査(PISA2003)では、数学的リテラシー得点について、学校質問紙・生徒質問紙での結果及び調査問題との関連から、「学級雰囲気が良好であるほど、得点が高くなる」「生徒のモラールが高いほど、得点が高くなる」と報告しています。
このように、特別活動は学力向上に貢献しており、特活指導者が教科指導を行うと、子どもたちの学びが深まり、学習に取り組む意欲を高まると考えられます。
学級での話し合いが算数の学習に生きる
私の学級では、ほぼ毎日子ども全員で話合い活動をしています。話合いと言っても、学級会のような大がかりなものではなく、隣の子に日ごろの感謝の気持ちを伝えたり、日常の生活の中で少し困っている悩みをみんなで聞いて解決策を出し合ったりする形のものですが、こうした活動を地道に続けることで日ごろの学習で見せる子どもの姿に変化が見られるようになりました。
たとえば、算数で子どもに考えさせたい、考えを深めたい時、隣の席の子と相談したり考えを伝え合ったりする活動をよく取り入れます。高学年であっても、日頃から自分の考えを表現する活動に慣れ親しんでいるので、男女関係なくすぐに体を寄せ合って互いに計算方法や考え方を伝え合うことができます。さらに伝え合ったことを全体で発表する時間をもちます。ここでは、子どもが黒板の前に出てきて、自分の考えた解法を述べます。その発表を聞いて、別の子がさらに補足の説明を加えたり、別の考えを述べたりします。このように子どもの考えをリレーのようにつないでいき、最終的には学級全員の子が理解できるまでにしていきます。このことからも、特別活動の指導者が子どもの学力向上に大きな影響を与えていることが分かります。
次ページへ
Q11 特活指導者が担任になると、どんな学級経営が展開されるのか?
目次へ
目次ページ