アドバイス集 Q07-開発部-

特活指導者が児童会活動を進めると、子どもたちはどう育つのか?

特活指導者は、「私たちの学校ってすごいんだよ!」と自信をもって言える児童を育てたいと願い、毎年児童会活動に取り組むことが大切です。全校児童がそれぞれの立場から、自分たちで学校生活を充実させる児童会活動に取り組むことで、学校への誇りをもってほしいという願いがあるからです。

そのために、代表委員会の企画・運営のもと、毎年様々な児童会活動に取り組むことが大切だと考えます。そこでは全員が協力し、活動を成功させようとする姿が見られるからです。しかし、活動内容や方法は代表委員会からだけの視点で考えられていて、他の児童は決定事項に従って活動するだけといった場面も少なくありません。また、毎年「決められた年間行事」を行うことだけが児童会活動と思われてしまうこともあると思います。そのため、全員で達成感を味わうことが難しく、徐々に意欲が低下していってしまう様子が見られます。

そこで、代表委員会と全校児童のつながりを大切にした児童会活動を通して、自分の学校に誇りをもてるように指導支援することが大切だと思います。特活指導者は、特に以下の2点に重点を置くことが大切ではないかと考えます。

  • 全校児童と代表委員が相互に思いを伝え合う場を設ける。
  • 全校児童で児童会活動に取り組む「体験」、活動に工夫を加える「経験」を経て、新しい活動を創り出す「発見」へと発展させる。

これまでに、自分たちの学校にはなかった活動を「発見」できた瞬間の児 童の達成感は、想像以上のものです。

また、児童会活動は、決して学校行事の盛り上げや見栄えをよくするためだけの活動ではありません。大きな活動、立派な作品を作らなければいけないのではなく、どんなに小さい活動、見栄えのしないものでも、その過程で、児童がいかに「自主的、実践的な態度」で取り組んだのかが大切なことだと思います。

『新しい活動を創り出す「発見」』ということは、どういうことか

私は、児童会・代表委員の指導において「体験・経験・発見」の3つの段階を設定し、全校児童が自分たちの児童会活動に達成感を感じられるようにしたいと考えました。

まず、全校児童で活動する「体験」です。学校の一員としてみんなで運動会の応援団を盛り上げる活動に取り組みました。次に、工夫して、よりよくする「経験」です。ここでは挨拶運動について振り返り、さらに楽しいものにする活動に取り組みました。そして、新しい活動を創り出す「発見」に発展させました。これまでの活動を生かし、児童一人ひとりが直接参加できる活動を見つけてつくり、取り組みました。実践を進めるにあたっては、代表委員と全校児童のつながりを意識して活動に取り組むようにしました。

メッセージを貼る児童 ホカホカ○○っこ掲示板 「体験」「経験」と活動を積み重ねた後、代表委員児童に「○○小の一人一人が直接参加できる活動を何か見つけられないかな?」となげかけました。すると、「○○小のみんなだからできる、新しいことをやってみたいな。」「みんなが楽しくなったり、もっと仲良くなったりすることができたらいいな。」などこれまでの活動を通して、自分たちが児童会活動を創り出しているという自覚が芽生え始めていることが感じられました。話合いの結果、「心があたたかな気持ちになったエピソード」を全校で紹介し合う活動に決定しました。「心が温かくなるホカホカ言葉」という言葉と○○小の児童を表す「○○っこ」という言葉から、活動を「ホカホカ○○っこ」と名付けました。

あっという間に、児童会掲示板が、温かなメッセージでいっぱいになりました。 新しい活動を創り出す喜びを感じることができるのは、児童会活動の醍醐味だと感じています。

『自主的・実践的な態度』ということは、どういうことか

当時の勤務校では、代表委員が毎日全員、校門に立ち、挨拶運動をしています。数年前の代表委員会の話合いで、「挨拶は言葉だけではない」とハイタッチ挨拶運動を初めて4年目になります。現在、挨拶運動の時だけではなく、運動場や廊下ですれ違う時にも、当時の勤務校の挨拶として当たり前のように、習慣化した活動となっています。児童会を担当していて、その学校オリジナルのものとして誇りに思っていました。

ところが、先日、夏休み明けの代表委員会で、児童から「一定期間、ハイタッチ挨拶運動をやめたいです」と意見が出ました。2学期すぐの全校児童の挨拶の様子は、確かに1学期よりも格段に元気がありませんでした。目を見て挨拶できる児童がとても少なくなっていました。私は、「まだ、夏休み明け、少しずつ1学期以上の元気さを取り戻せる活動を…」と考えていました。しかし、児童は緊急の課題として早急に対応したいと考えていました。一度、基本的な元気のよい挨拶を全校児童に意識させて、再びハイタッチ挨拶運動を始めたいとのことでした。私は、学校の誇りと感じていたハイタッチ挨拶運動を一定期間であっても、やめるという考えは一切ありませんでした。児童から、この意見が出た瞬間は、「いやいや、それはちょっと…」と思いました。が、児童たちの真剣な目を見て、すぐに「なるほど、先生には思いつかなかったよ。やってみようか」と言いました。

その時すぐには気付かなかったのですが、翌日、ハイタッチなしの挨拶運動を児童が生き生きとしている様子を見て、これこそが児童の「自主的・実践的な態度」ではないかと感じました。

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Q08 特活指導者が異年齢集団活動を進めると、子どもたちはどう育つのか?

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