特活指導者が異年齢集団活動(縦割り活動)を進めると、子どもたちはどう育つのか?
特活指導者は、ペア活動や縦割り活動などの異年齢集団活動を進める上で、次の2つのねらいを意識して指導していきます。ここでは、縦割り活動について、述べていきます。
- 上学年には、リーダーシップや思いやりの心を育てる。
- 下学年には、上学年に対するあこがれの気持ちを育てると共に、異年齢集団の一員だという気持ちを育てる。
しかし、現実はどうでしょうか。限られた時間の中で異年齢集団での話合いを進めていくのは困難で、話合いで決められなかったことは、全て上学年に任せっきりになってはいないでしょうか。これでは、上学年にとって負担が増えて、与えられた仕事のみになってしまい、子どもたちの自主的、実践的な態度の育成につながりません。
また、異年齢集団活動の内容はどうでしょうか。異年齢集団活動を行っていくと活動がマンネリ化してしまうという声をよく聞きます。このような状態が続くと、上学年は「毎年やっているからこれでいいや」という気持ちになったり、下学年は「上学年がやってくれるから」というお客様状態になったりしてしまいます。
そうしたことを防ぐために、特活指導者は、異年齢集団活動の年間計画を工夫します。1学期は互いを知る時期として、遊びを中心とした活動に取り組みます。2学期は、考えを出し合う時期として、シンボル作りなど絆を深める活動に取り組みます。3学期は集大成として、自分がどのように成長したのかを認め合う場を設定します。
また、年間計画の中に上で示した2つのねらいを組み込んでいきます。例えば、6年生のリーダーシップを育てるために、まず始めは、ゲーム集会の活動をする場合、リーダーが司会の台本を読みながら活動を進めていくことで、成功体験を積みます。次に、台本なしで活動に取り組み、できた子へは褒め、できていない子へは、さりげなくアドバイスをして、あたかも自分が頑張ったかのように感じさせて自信をもたせていきます。これを繰り返していくことで、どのような状況になっても、臨機応変に対応することができるようになり、リーダーとしての自信をもつことができてきます。下学年は、リーダーシップが徐々にとれるように成長していく上学年のリーダーの姿を見たり、担当の教師が、「おかげでうまくいったよ、ありがとう」などの感謝やねぎらいの言葉を掛けたりすることで、「わたしが上学年になったら、リーダーのような人になりたい」というあこがれの気持ちをもたせていきます。
このような異年齢集団活動を行うことで、上学年はリーダーシップや思いやりの心が育ち、下学年は、上学年に対するあこがれの気持ちが育つと共に、異年齢集団の一員だという気持ちが高まります。学校全体で教師が事前・事後活動を意図的に計画していくことが大切です。
縦割り活動を委員会活動の一つとして組織する
本校の縦割り活動は、「なかよしタイム」という呼び名で、毎週金曜日の業前(15分間)に行っています。そのため、毎週どのような活動を行うのかを、話し合って決めることが必要でした。そんな中、本校でも先に記述した「縦割り活動の話し合う時間に限りがあること」、「リーダーとなる6年生に全ての負担がかかってしまうこと」が問題点として浮き彫りになってきました。
そこで、本校では、「縦割り委員会」として、委員会活動の一つに組織することにしました(下図参照)。そうすることで、委員会活動の時間中に、どのような活動を行うのかを話し合う時間を確保できたり、4~6年生の縦割り委員内で役割を分担することができ、リーダーとなる6年生の負担を軽減したりすることができました。
<縦割り委員会>
縦割りグループ数:7グループ(学級数分のグループ)
メンバー:4・5・6年生(7名ずつ、計21名)
活動日:隔週水曜日6時限目(委員会活動の時間)
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Q09 特活指導者が運動会の指導を進めると、子どもたちはどう育つのか?
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