学級会で子どもの力を育てるために、事前に指導しておきたいことは何か。
学級会で子どもの力を育てるために、事前に指導しておくことはとても大切なことです。では、この「子どもの力」とは何なのでしょうか。自分の学級をよくしようという思いを基にした、自己のよさや可能性を生かす力、意思決定能力、他者と関わる力などがあげられます。
こうした子どもの力を育てるためには、以下の二つの指導が必要と考えます。
1 議題設定の際の指導
学級会の議題の考え方によって、子どもの学級会に対する姿勢は大きく異なります。議題は自分自身と深く関わりがあることを捉えさせることがとても重要です。そのためには、子どもが日常の自分や学級を振り返り、議題に対する今の学級の課題や学級成員の願いをしっかりと把握することで、課題意識を高めることが大切です。
課題意識を高めるとは、次の二つのことだと考えます。
- 「この問題は何としても解決しなればならない」という切実感をもたせる。
- 「この問題を解決すると、僕たちの学級がもっとすてきな学級になる」という期待感をもたせる。
a. 「切実感」をもたせるためには次のような活動を行うとよいと考えます。
- 日常の自分や学級を振り返り、課題や提案理由や話し合いのめあてを作り上げる際に、願いをしっかりと把握する。
- 振り返る際には、日々の出来事をアンケートにしてまとめたり、自分の思っていることを書き合ったりする。<図1>
- それを数値化・視覚化して、自分たちの状態を確認できるようにする。<図2>
b. 「期待感」をもたせるためには次のような活動を行うとよいと考えます。
- 各学級にある「学級目標」をもとにしながら、達成状況を確認する。
- 学級会をすることで、さらにどこまで達成できそうなのか、見通しをもたせる。
このように十分に「切実感」と「期待感」をもたせた上で、議題に対して一人一人が自分の考えをもつことができるように指導するのです。
2 自分の考えをもたせる際の指導
その具体的な方法としては、事前にワークシートに自分の考えとその理由をまとめることも大切です。この時、
- 子どもが「自信」をもって「安心」して学級会に臨むことができる。
- 自分の学級に対して、「役立ち感」を感じることができる。
ことが、自分の考えをまとめるうえで、必要となってきます。
a. 「自信」「安心」感をもたせるために次のような指導を行うとよいと考えます
各学級にある「学級目標」を意識しながら、まとめるよう子どもに話すことも、教師の大事な仕事と言えます。その際に、教師が朱書きをすることで子ども一人一人の「自信」や「安心」につながります。
朱書きの内容としては、「あなたの意見は、他の友達が考えもしなかった」といった自分だけの意見であることを認めるもの、「学級のことを考えた意見だね」といった学級目標に沿ったものであることを認めるものなどが挙げられます。また、「その意見を学級会でぜひ言ってほしい」と子どもに伝えることも有効です。教師が子どもの考えを褒め、大切にすることで、子どもが「自信」をもって「安心」して学級会に臨むことができます。また、見通しをもつことにもつながり、そのことが「安心」感にもつながります。そうすることでより話し合いが活発になります。
もちろん、話し合いでは互いの意見を大切にすることも必要です。
b. 「役立ち感」をもたせるためには次のような活動を行うとよいと考えます。
学級に対して「役立ち感」をもつには、日常の学級活動における「振り返り」が必要です。(「振り返り」に関しましては、他の項目にて紹介しております。)「役立ち感」はすぐに身に付くものではなく、日頃の積み重ねがあって、子どもの中に根付いていくものと考えます。一つの活動に対して、自分はどうであったかと振り返る「自己評価」、そして友達から受ける「他者評価」が次の活動への意欲付けとなります。「他者評価」によって、意欲が失われてはいけませんので、その都度、どう他者評価をするのか、どうその評価を受け取るのかを指導していく必要があります。
振り返りの活動が次の事前の指導にもつながり、それが繰り返される中で「役立ち感」が身に付いていくものと考えます。
子どもの声をひろうアイディアBOX
議題を作るためには、子どもたちの思いや願いを把握することが大切です。そこで子ども一人一人の声をひろう「アイディアBOX」の実践を紹介したいと思います。学級に「アイディアBOX」という箱を設置し、その横には子どもが自由に書ける紙を用意します。
その紙には、学級で話し合い、決定する内容のものを書きます。教師の適切なアドバイスのもと、計画委員で検討をして、学級会の議題にしていくのです。
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2章Q03 話し合い活動を行うと、なぜ子どもが育つのか。
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