「学級ファシリテーション」について
『よくわかる学級ファシリテーション② 子どもホワイトボードミーティング編』
岩瀬直樹 ちょんせいこ著 解放出版より
資料のみどころ
学校生活を子どもたちが送っていると、子ども同士の権利と権利がぶつかり合い、対立が生まれる。対立が生まれた場合に、教師は対立が起きたことを叱りがちである。また、教師に解決を求め、教師がほとんど解決しがちである。その結果、子どもたち同士で課題を解決することができない状況になってしまう。そんな場合に、著者は以下のように考えている。
子どもたちがファシリテーターになると、クラスのオーナーとして、具体的な活動を進める方法を手に入れます。
お楽しみ会や合唱コンクール、運動会などの行事やイベントの計画を自分たちで立てる。教室で起こるトラブルも自分たちで解決したり、クラスの改善活動も目標立てて、意欲的に進めることができます。
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企画力や課題解決能力が高まる
その中で代表例として、「ホワイトボード・ミーティング」を紹介している。ホワイトボードミーティングを活用することで、子ども同士が互いの意見を聴き合う関係が築かれ、話合いを通して学級に安心感が生まれる。
また、課題を子どもたちで上手に解決することができるようになる。
そして、著者は次のように著書で述べている。
話を聴き合える関係は、教室に良好なコミュニケーションを育みます。しっとりした、満たされた安心感に支えられて、自分の力を思う存分、出しやすい。子どもたちが温かく、やわらかくつながります。そして、思った以上の力を発揮するグループダイナミズムが生まれるのです。
進行技術であるファシリテーションは、練習すればするほど、上手に行えるようになる。地道な努力を積み重ねていく必要がある。子どもたちにももちろん身に付けさせていくことは可能である。ファシリテーションを活用し、自分たちで課題を解決し、安心感が生まれていくだろう。
<こんな実践を紹介します>
ホワイトボードミーティングとは、小グループでホワイトボードに意見を書きながら進め,課題を解決していく活動である。この話合い方法は、ファシリテーションの技法の一つであり、子どもがファシリテーターとなり、質問とあいづちを行い、相手の意見を承認しながら話合いの場を進め、課題を解決していく。
- オープン・クエスチョン(思考を広げ、深める開かれた質問)とクローズド・クエスチョン(意見をはっきりする閉じた質問)と自己選択、自己決定を問う質問(どうしたいか考える質問)の3つに質問の技を分類する。
- 3つの質問の技を使って、毎日話題を決めて「ペア・コミュニケーション」を行う機会を設定する。
また、覚えた質問の技の数と話し合った時間の長さを階級制度にして「検定シート」を作成して、練習を積み重ねて話合いのスキルの定着を図る。 - ペア・コミュニケーションで得た質問の技を生かして、問題や課題に対して、自由に意見を出し合う(発散)・意見を比べる(収束)・意見を決定する(活用)の順番に、ホワイトボードに書きながら解決する活動を行う。
発散・収束・活用の流れごとに、ホワイトボードに書くペンの色を変え、分かりやすいようにする。
最初は「おかしベスト5」や「遊園地で乗りたい乗り物ベスト5」などの簡単な課題に取り組んで練習する。
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「アドラー心理学の共同体感覚」について