文部科学省 杉田洋視学官の講演から

文部科学省 杉田洋視学官の講演から H26/7/31全特活

特別活動で子どもを育て、学校生活を創る
~汎用的能力の育成を通して~

文部科学省初等中等教育局 杉田 洋視学官は「特別活動で子どもを育て、学校生活を創るというテーマ」で講演をされた。そのキーワードは「汎用的能力の育成」であった。

教員、中でも「学級担任」は、特別活動(学級活動)を通して、学級づくりの基盤を形成し、その上で各教科で育むべき能力を十分に伸ばそうという気構えで教育活動にあたるべきである。いわゆる「健全な学級づくり」が根底に流れているからこそ、「健全な教育活動」が保障され、心身ともに「健全な子ども」が育つのである。

杉田視学官は、こうした特別活動の本質を生かしつつ、特別活動で培われた力を、学校生活のあわゆる場面で「汎用的に」活用していこうとすることが今後の教育的課題を解決することにつながると説かれた。

特別活動の育てたい能力は大きく分けて3つある。「自己の生活上の課題を解決する能力」「よりよい社会づくりに参画する態度や自治的能力」「集団の一員としての人間関係形成能力」である。

中でも、「自己の生活上の課題を解決する能力」は、子どもの内に視点を与えたり、教師が意図的に問題や課題を見い出す目を育てておくことが大切であると述べられた。

今、私が所属する学校では、子どもたちはとても素直であり、教員が求めることを一生懸命に頑張ろうとする「健全な小学校」である。しかしながら、教員が子どもたちをすべてリードし過ぎてはいないだろうかという懸念がある。本来、子どもたちが自ら見付けてほしい課題までも教員がリードし過ぎる学級経営の中で「消化(昇華)」してしまってはいないだろうか、ということである。

現場の人員構成がここ数年大きく世代交代する中、特別活動、とりわけ学級づくりの基本理念は変わらない。しかし、目の前の子どもや保護者たちも世代交代をしている。だからこそ、これまで大切にしてきた特別活動の基本はゆるがないように努めつつ、一方で「子どもたち自らが、自分たちを律する」という視点を培い、「自己の生活上の課題を解決する能力」の育成に努めなければならない。

「汎用的」とは「(学んだことを)どの場面でも生かすことができる」という意味としてとらえる。ということは、各学校でさかんに行われている特別活動(学級活動、学校行事、委員会活動、クラブ活動)で培われた力を、他の場面でも生かすように努めればよい。

特に、運動会では、多くの練習を積み上げてきた達成感をエネルギーとして、「あいさつ運動」や「規律を正す」行動に結び付けていくことはできないだろうか。「健全な子どもたち」のエネルギーを、学校生活上の様々な場面で「汎用的に」生かすよう努めていきたいものである。

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防災教育の展開第5章より 文部科学省HP

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