実践に生かしたい最新の研究情報:自尊感情の成り立ち

実践に生かしたい最新の研究情報:自尊感情の成り立ち

ここでは、自尊感情(セルフエスティーム)に関する最新の研究を紹介します。

最近の実践には、自己肯定感、自己有用感、自己効力感、自己有能感などがよく取り上げられます。どれも自尊感情に関連した言葉で、子どもの心の状態を語るものです。自己肯定感、自己有用感などの言葉を使用する際には、それぞれの言葉について、実践者が定義づけをして実践を進めていることでしょう。しかしながら、最近の研究においては、自尊感情というものは、複雑な成り立ちをしているということが明らかになってきています。

以下の自尊感情の捉え方に沿って、自分の実践が、子どもたちの自尊感情のどの部分の感情を育てるものなのかをはっきりさせることが、より有効な実践につながることでしょう。また、これから実践に取り組む先生も、この捉え方を意識してみてはどうでしょうか。

【ポイント:実践の前後で、2つの自尊感情の変化を捉えていきたい!】

1 自尊感情は、基本的自尊感情と社会的自尊感情の組み合わせによって成り立つ

大人は子どもを褒めたり、認めたりして自尊感情を高めようとしてきました。しかし、そうすることで高まるのは、自尊感情の一部なのです。最も大切なのは、あるがままの自分を受け入れ、自分をかけがえのない存在として認める感情です。その感情が、自尊感情の基礎を支える大切な感情なのです。自尊感情は、次のような2つの感情から成り立っています。

基本的自尊感情
(Basic Self Esteem)
BASE
成功や優越とは無関係の感情。あるがままの自分自身を受け入れ、自分をかけがえのない存在として、丸ごとそのままに認める感情。よいところも悪いところも併せ持った自分を大切な存在として尊重する感情。
社会的自尊感情
(Social Self Esteem)
SOSE
うまくいったりほめられたりすると高まる自尊感情。失敗したり、叱られたりすると途端にしぼんでしまう状況や状態に左右される感情。

自尊感情が、基本的自尊感情(BASE)と社会的自尊感情(SOSE)の組み合わせによって成り立っていることを理解した上で、BASEとSOSEの両方に注目して、子ども一人一人の自尊感情の状態を把握していきましょう。

2 自尊感情は、基本的自尊感情と社会的自尊感情の組み合わせによって成り立つ

大人は子どもを褒めたり、認めたりして自尊感情を高めようとしてきました。しかし、そうすることで高まるのは、自尊感情の一部なのです。最も大切なのは、あるがままの自分を受け入れ、自分をかけがえのない存在として認める感情です。その感情が、自尊感情の基礎を支える大切な感情なのです。自尊感情は、次のような2つの感情から成り立っています。

2 自尊感情の4つのタイプ

自尊感情は、BASEとSOSEの大きさの組み合わせによって、次のように4つのタイプに分類できます。

SBタイプ自尊感情の2つの部分がバランスよく形成されている
sBタイプ社会的自尊感情が育っていない
のんびり屋、マイペース
sbタイプ自尊感情の2つの部分が両方とも育っていない
孤独、自信がない
Sbタイプ社会的自尊感情が肥大化している
頑張り屋の良い子、不安を抱えている

右上のSBタイプの子は、失敗したり叱られたりしてSOSEが落ち込んだとしても、BASEが育っていて、心をしっかりと支えているので大丈夫です。

一番成長させやすい子どもは、sBタイプの子です。仲間からの賞賛と挑戦することを教師や周りの人が促すことで、社会的自尊感情が育ち、SBタイプへと子どもを成長させることができます。

とても心配なのは、sbタイプの子です。自分に自信がなく、さびしさを抱えている子です。優しく元気づけながら、認めてあげることが必要になります。

見落としがちで、今一番危険な存在と言えるのが、Sbタイプの子です。周りの人からは、頑張り屋さんと評価されることが多いですが、実はBASEが育っていないので、とても不安を抱えて生活しています。頑張らせすぎず、力を抜いて生活させ、あなたらしくいればいいよと声をかける支援が有効と考えます。

以下の文献を参考にして、子どもたちがどのタイプに分類されるかを把握し、その子に合った実践や支援の方法を検討してみてはどうでしょうか。

参考文献
近藤卓『子どもの自尊感情をどう育てるか そばセット(SOBA-SET)で自尊感情を測る』(ほんの森出版 2013)

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